インカム投資家のakiです。
なぜか岸田総理がたたかれたり、国が企業に賃上げを要求したりと訳がわからない状況です。
基本的には企業が利益だして、さらに良い人材の採用して業務を拡大していく事を目的に募集金額を上げて、自社の従業員の賃金も底上げしていく形が健全でしょう。
基本的に国が口出しする話ではありませんし、どうすれば賃金が上がる世の中になるかを考えた方が良い気がしますね。
はじめに
一応私も経営者を経験していますので、その観点から「なぜ賃金が上がらないか?」を考えてみたいと思います。
しかし原因は一つではありませんし、私の個人的な観点を問題提起したくらいの認識でお願いします。
ちなみに私の前職での会社だけではなく、私の前前職・前職と関わりのあった会社(大企業含む)等で感じたことになりますのでよろしくお願いします。
手取りと総支給
本題に入る前に、この手の話題になると「給料は上がっているのに手取りは減った」という話がでます。
これに関しては政府も絡んでくる話なので先にしたいと思います。
給料は上がっているのに手取りは減った
会社が謎控除をしていなければ、ほぼ社会保険料が原因です。
社会保険料って毎年のようにガンガン上がっているのですが、みんな文句言わないんですよ。昔は賞与では控除されなかったですし。消費税には大騒ぎなのに不思議なものです。
日本の財源から社会保障費に使用される割合が一番高くこれをどうにかしないと年々負担は増加するのみです。
小さな点では老人の通院の多さやシップ代・大きな点ではやはり延命治療や介護関係が上げれるのではないでしょうか?
年を取れば体が脆くなるので通院は仕方無いかも知れませんが、暇で誰かに合えるから病院へ通っていたり、安いから薬を大量に処方してもらったりと問題も多いようです。
また、日本の延命治療は新興国の王族がするような高レベル大金のかかる治療も多く、「意識が無いけど可能な限り心臓を動かして長く生きて欲しい」みたいな家族もいるわけです。
追及すると長くなるので割愛しますが、個人的には「ここまでは国(健康保険)で保障、ここからは望む人は全額自己負担」という線が必要かと思います。
プラスして外国人対応です。「外国人の割合なんて極少数だろ!?」と言う方もいるのですが、割合の問題ではないです。そもそも、今後日本へ就労を希望する外国人は減少していくと思いますが、働く気が無く福祉だけを利用する外国人はどんどん増加しますので早期に規制をかけるべきと思います。
「彼は日本で透析治療を受けないと死ぬ。お前は人の命を奪う選択をするのか?」みたいな方もいらっしゃいますが、それは「自国の大使館へ相談する内容」そして「自国で法整備を訴える内容」と思います。
最近は「社会保障費が高すぎる!」って意見も出るようになりましたが、現状を維持しつつ社会保険料だけ安くはできません。これについては政治の問題なので論点にして選挙して欲しいですね。
なぜ賃金が上がらないのか?
前置きが長くなってしまいましたが本題です。
しかしこの話題は皆様色々なところで見ていると思いますので、今回は逆の切り口で「賃金を上げ難くくする要因は何か?」の観点でお伝えしたいと思います。
結論言うと「労働基準法」です。
「はい、ブラック確定!」そんな声が聞こえましたが落ち着いてください。
ちなみに、本記事では「給与」ではなく「賃金」と記載して来ましたから表題から推測できた方も多いかも知れませんね。
不利益変更禁止の原則
不利益変更はご存じでしょうか?簡単に言うと決めた賃金(賃金だけではない)を下げる事ができないって事です。法律的には「可能」なのですが、ハードルが高過ぎて控訴リスクまで考慮すると現実的ではないのです。
一般的に「バリバリ仕事ができて結果が出ているならガンガン賃金を上げるべきだ!」という意見がありますが、私も同感です、ダメだった時に下げることができるのなら・・・
人の成長って右肩上がりじゃないんですよ。成長が止まる人もいれば、逆に下がって悪くなってしまう人もいます。皆様の会社にいる「働かないおじさん」だって昔は成果を出していた時期があるかも知れませんよ。
経営者として、できる人材は好待遇でより成長して欲しいと思っています。当然、他よりも昇給は優遇されますが、爆上げみたいな昇給は「下げる事ができない」という条件が入ると非常に厳しくなるのです。
上記をふまえて「賃金なんて全然上がらない。高い転職先も少ない」という声と「かなり高い賃金を出している会社はある。」という両極端な意見があります。
これは内容を分析してみると分かると思います。
「高い賃金を提示している就職先」とはどんな就職先でしょうか?私の見る限りでは「期間工」や「職人系」の仕事が多いんじゃないと思います。特徴として、定年まで雇用と賃金が保障されている職種じゃないってことですね。
とは言え、私から見ると最近の日本企業はインフレ圧力もありますが全体的に賃上げを頑張っている印象です。
厳しい解雇規制
これも法律的に可能とされていますが、裁判まで考慮すると非常にハードルが高いですね。たまに公務員が犯罪を犯して解雇されて「違法解雇だ!」と裁判起こしているを見た方も多いと思いますが、そのくらい難しいです。
私が一番は訴えたい点は「労働者は労働基準法によって守られている」一方で「労働基準法によって同じ労働者間で利益を得る者・不利益を被る者が存在する」点です。
例えば、何度も指導しているが改善されないさぼり癖のある従業員Aがいたとして、会社にできる事は昇給を止めるくらいで解雇までは現実的ではありません。ただ、このパターンで一番困るのは何でしょうか?同じ職場で働く同じ立場の従業員の負担が増加することです。世の中数量化できる仕事ばかりではありませんから・・・一方で、Aは「私は自分なりに頑張っている」みたいな事を平然と言うんですよね。
この問題を労働基準監督署に相談したらどうなるでしょう?答えは「会社の指導が悪い」です。
ハッキリ言っていい歳した人間の人間性を変えるなんて無理ですよ。
内容は言いませんが最終的に強い対処をせざるを得ませんでした。
皆様の会社でもあるような気がします。労働基準法に守られている人がいる一方でそのとばっちりを喰ってしまう人が・・・
これは部・課・チーム内で起こる話でもあれば、世代間で起きる話でもあります。
ちなみにリーマンショック後の話ですが、私が労働局にこんな内容の話をしました。
社内で一部の従業員の賃金が乖離しています。業務に見合った賃金に是正できれば新規採用を2~3人増やせますよ。
不利益変更になるから難しいですね。
これって見方によってはこれから労働者になる人間の権利が既得権者に侵害されていませんか?
これから労働者になる人はまだ労働者ではないので権利はありません。
こんな感じの会話がありました。
特定を避ける為、詳細は書きませんが簡単な経緯としては「過去、監督署が巡回に来た際にある不備が見つかり一部の数人だけが同じ仕事で賃金が大幅にupしてしまった」ってことがありました。同じような条件で同じ仕事をしていたのに・・・
不備を是正するだけで良いのに、「労働者にとって不利」とか言いながら数人だけ監督署の指導により既得権ができてしまったわけです。
じゃぁこの人たちをどうするかと言うと、どうにもできません。多少昇給を調整するにしても、昇給無しとかにするとまた指導入りますよ。また他の人には影響関係ないように思えますが、賃金とか昇給率とかそういったものは通常予算で決めますので新入社員ほど不利になります。
私の会社だけの話ではなく、日本中でなんかしらの影響はあるものと思います。そういった事が何度も積み重なって優遇されていた50~60代の従業員の給与テーブルがどんどん改悪されていって若い人ほど不利になってきたのではないでしょうか?
また、日本の企業はその特性上「一部の優秀な人材が売上の大部分を作り、それを社内で分配している」ってことです。そうなると優秀な人材は他人よりも多いくらいの賃金しか得られず、高給働かないおじさんや害悪な人材にまで分配されます。
よく「アメリカでは成果に報酬で報いている。日本はそれがない。」と言う意見がありますが、ではアメリカで成果が出ていない従業員はどうなるのでしょうか?
日米を比べるのであれば、労働法令(今回なら賃金と解雇規制)も踏まえて比較するべきですよね。
おまけ
皆様「中所得国の罠」はご存じでしょうか?
経済成長により一人当たりGDPが中程度の水準に達した後、経済成長パターンを転換できず、経済成長率が低下、あるいは長期低迷する現象です。
私はアジア圏に関しては多くの国がこの罠に嵌ってしまうのでは・・・と考えています。
なぜかと言うと、これらの国は欧米支配があり労働力としていい様に扱われた過去があり、近年は労働者保護を前面に押し出しているパターンが多いからです。
中国も共同富裕で労働者を過剰に保護するようになりました。(クーデター対策の一環でしょうね)
しかし、この結果からは義務を果たさず権利を主張する者も増加させました。
日本もそうですが、アジア圏も同じ道を辿っている気がします。ある程度豊かになると楽な仕事やステータスのある仕事しかやりたがらなくなる傾向があると思うんですよね。
まとめ
不利益変更や解雇規制を解除すべきって話ではなくて、賃金上昇の足枷になったものをご紹介しました。
また、労働基準法を声高らかに叫ぶ人もいますが、誰かの権利を過剰に守ることによって同じ労働者が割を食う事例があることも知っていただきたかったです。
もちろん、今回述べた事だけが原因ではなく「ゾンビ企業」「ブラック企業」その他・・・と様々な原因はありますのでお間違えないようお願いします。
ただ、ブラック企業は辞めるだけで解決するので自分にはちょっと不思議です。リーマンショック後ならともかく、今は人手不足で多くの求人がありますからね。
人材戦略も過渡期にきていますね。
今までは大量に高卒・大卒を入社させて教育を行い、上位10~20%が稼ぎ出す売上・利益で会社を全体を回してきましたが、外資から見れば「育った10~20%」だけを2倍の給料で釣れれば効率が良いですから。
日本は「世界で唯一成功している社会主義国家」みたいに言われる事もありましたが、高度経済成長期の運用を維持するにも限界はありますし、社会主義国家が繁栄した事例が無いことから「過去成功した時代もあった社会主義国家」に変わっていくかも知れません。
私も現在は一人社長でやっていますが、従業員を雇用しなくても何とかなる仕組みで仕事を楽しんでいます。急速な時代の変化にもできるだけ付いて行きたいですね。
選択肢が多い時代により良い選択をしたいですね!